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2018年09月10日
月曜日
忖度と惻隠(2018年8月27日) ( 教室通信 )
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2つともむずかしい熟語ですね。でも、あの森友学園の問題では、役人たちが安倍総理夫妻の意志を推し量って特別に低い金額で国有地を譲り渡したということで、忖度ということばが有名になりました。加計学園の問題でも理事長が安倍総理の親友であることから、役人たちが忖度(そんたく)をして特別に新学部の認可を出したのではないかと言われています。
「忖」という字は、他人の心を推し量ること、だから“忖度”は、おもに自分と同じか自分よりも地位が上の人の“寸”(微妙な)心を読んで、ことばで言われなくてもその人の意志の程“度”に沿った行動をすることです。
「惻」という字も、心を推し量ることですが、こちらは外に出せない“隠”れている人の心を読み取ることです。つまり、自分の意志が出しにくい弱者やツラい思いをしている人の側に立ってその気持ちに沿うことです。これが惻隠(そくいん)ということばの意味です。
同じように「人の心を推し量る」意味のことばですが、方向がまったく違うことが分かります。
現代は、政治家・官僚だけではなく、地域やクラスなど小さな単位の集団のなかでも忖度を考えて動く人がいます。言い換えれば人の顔色をうかがいながら行動している人です。
一方で、大きな災害が起きるたびに駆け付けるボランティアの人々だけではなく、黙ってそっと側にいるだけのひと、遠くから見守っている人、こんな人の中に“惻隠の情”を感じることがあります。
少し前になりますが、“KY”ということばを聞いてびっくりしたことがあります。これは「その場の空気が読めないこと」だそうです。ときどきみんなと違う行動をすることがあるぼくも“KY”なのかもしれません。でも、もし、このように言われることがあったら、その場の空気や中心となっている人の気分を“忖度”するのではなく、“惻隠”の気持ちだけ持てばよいと思います。
それにしても、力の強いものの意見に押され、その顔色をうかがい、まるでヒラメ(鮃くんには失礼!)のように上ばかりを見て忖度したり、空気を読みながら生きるのでは、個人としてはとても寂しい人生であるし、そういう社会は息苦しくて発展性がありません。納得できないことにはしっかりと異議を唱え、周囲と多少意見が違っても自分の意見を述べ、そのうえで弱い立場の人やツラい思いをしている人の心に沿うことができる、そんな人がひとりでも多くなれば、大きな意味で言えば戦争への道が遠くなるし、小さな意味では暮らしやすい日常になるのではないかと、おじさん自身も自戒しているのです。
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